つまり,相対質量g中にはアボガドロ数個(1mol)の粒子が存在することになり,物質1molの質量はその物質の分子量や式量にgをつけた値といえる。この1mol当たりの質量を〔 モル質量 〕という。
物質1molの質量 = その物質の〔 分子量 や 式量 〕g
例)原子量 H=1.0,O=16,Na=23,Cl=35.5
H2OとNaCl 1molの質量はそれぞれ何gか。
H2O 1molの質量 = H2Oの分子量g = 1.0×2+18 = 18g
NaCl 1molの質量 = NaClの式量g = 23+35.5 = 58.5g
HCl 2molの質量は何gか。
HCl 1molは, 1.0+35.5 = 36.5g なので,
2molは, 36.5×2 = 73g
Na2O 31gの物質量は何molか。
Na2O 1molは, 23×2+16 = 62g なので,
Na2O 31gは, 62/31 = 0.50mol
例題 次の各問いを有効数字2桁で答えよ。原子量 H=1.0,C=12,N=14,O=16,Mg=24,Cl=35.5,Ca=40
(1) 黒鉛C 0.40molの質量は何gか。 (2) マグネシウムMg 19.2gの物質量は何molか。
(3) アンモニアNH3 0.50molの質量は何gか。 (4) 酸素O2 24gの物質量は何molか。
(5) 塩化カルシウムCaCl2 222mgの物質量は何molか。また,この中に含まれるCa2+とCl−の合計は何molか。
(1) 4.8g (2) 0.80mol (3) 8.5g (4) 0.75mol (5) 0.060mol
問題演習
(1) 〜 (4) の質量,(5)
〜 (8)の物質量をそれぞれ有効数字2桁で求めよ。
原子量 H=1.0 C=12 N=14 O=16 Na=23 Mg=24 S=32 Ca=40
(1) 黒鉛C 0.20mol (2) カルシウムCa
0.75mol (3) 硫化水素H2S
1.5mol
(4) 酸化マグネシウムMgO 0.30mol (5) ダイヤモンドC 0.12g
(6) マグネシウム4.8g (7) 二酸化窒素NO2
2.3g (8) 炭酸ナトリウムNa2CO3
5.3g
(1) 2.4g (2) 30g (3) 51g (4) 12g (5) 0.010mol (6) 0.20mol
(7) 0.050mol (8) 0.050mol
物質量と粒子数,質量の関係をまとめると,つぎのようになる。
粒子の数,物質量,質量の関係 6.0×1023個 = 1mol = 分子量,式量g
原子量 H=1.0 C=12 O=16 Na=23 Cl=35.5 アボガドロ定数NA=6.0×1023/mol
(1) 二酸化炭素CO2 3.0×1023個の質量は何gか。 (2) 水H2O180gに含まれるH2O分子の数は何個か。
(3) 酸化ナトリウムNa2O 124gに含まれるNa+の数は何個か。
(1) CO2 6.0×1023個 ⇔ 1mol ⇔ 12+16×2=44g より,
CO2 3.0×1023個は,44×3.0×1023/(6.0×1023) = 22〔g〕
(2) H2O 6.0×1023個 ⇔ 1mol ⇔ 1.0×2+16=18g より,
H2O 180gは, 6.0×1023×180/18 = 6.0×1024〔個〕
(3) Na2O 6.0×1023個 ⇔ 1mol ⇔ 23×2+16=62g より,
Na2O 124gは,6.0×1023×124/62 = 1.2×1024〔個〕
Na+はNa2O 1つに2つ含まれるので,1.2×1024×2=2.4×1024〔個〕
問題演習
(1)
〜 (4) の質量〔g〕,(5) 〜 (8) の粒子の数〔個〕をそれぞれ有効数字2桁で求めよ。
原子量 H=1.0 C=12 N=14 O=16 Na=23 Mg=24 Al=27 Fe=56
アボガドロ定数NA=6.0×1023/mol
(1) 水素原子H 6.0×1023個 (2) 鉄原子Fe 3.0×1023個
(3) 水分子H2O 2.0×1022個 (4) アルミニウムイオンAl3+2.0×1024個
(5) ダイヤモンド0.12g中の炭素原子C (6) マグネシウムMg 4.8g中のマグネシウム原子Mg
(7) 二酸化窒素NO2 2.3g中の二酸化窒素分子NO2 (8) 炭酸ナトリウムNa2CO3 53g中のナトリウムイオンNa+
(1) 1.0g (2) 28g (3) 0.60g (4) 90g (5) 6.0×1021個 (6) 1.2×1023
(7) 3.0×1022個 (8) 6.0×1023個
【物質量と気体の体積】
同温・同圧のもとで,気体の状態の物質1molが示す体積は,気体の種類に関係なく一定である。これをアボガドロの法則という。とくに標準状態(0℃,1013hPa)では,気体の物質1molが示す体積は〔 22.4 〕Lである。
例)標準状態で,二酸化炭素CO2
3.0molの体積は何Lか。
1molは,22.4Lなので,
3.0molは,22.4×3=67.2〔L〕
標準状態で,二酸化炭素CO2
56Lの物質量,粒子数,質量はそれぞれいくらか。(C=12, O=16)
CO2 6.0×1023個 ⇔ 1mol ⇔ 12+16×2=44g ⇔ 22.4Lより,CO2 56Lは,
物質量=1×56/22.4=2.5〔mol〕
粒子数=6.0×1023×56/22.4=1.5×1024〔個〕
質量=44×56/22.4=110〔g〕
例題
次の問いを有効数字2桁で答えよ。気体はすべて標準状態のものとする。アボガドロ定数NA=6.0×1023/mol C=12,N=14,O=16
(1) メタンCH4 0.25molの体積は何Lか。 (2) 水素H2 11.2Lの物質量は何molか。
(3) 水素H2 5.6L中の水素分子は何個か。 (4) 酸素O2分子7.5×1023個の体積は何Lか。
(5) 一酸化炭素CO 33.6Lの質量は何gか。 (6) 二酸化窒素NO2
11.5gの体積は何Lか。
(1) 5.6L (2) 0.50mol (3) 1.5×1023個 (4) 28L (5) 42g (6) 5.6L
問題演習
(ア) 〜 (ウ) の体積〔L〕,(エ) 〜 (オ) の物質量〔mol〕,(カ) 〜 (キ)の粒子数〔個〕,(ク) 〜(ケ)の質量〔g〕を有効数字2桁で求めよ。ただし,気体はすべて標準状態とする。アボガドロ定数NA=6.0×1023/mol H=1.0,He=4.0,N=14,S=32
(ア) 酸素O2 0.25mol (イ) ヘリウムHe 10g (ウ) オゾンO3
7.5×1022個
(エ) アンモニアNH3 8.96L (オ) 硫化水素H2S
5.60L (カ) 二酸化炭素CO2 5.60L中の二酸化炭素分子
(キ) 塩化水素HCl 67.2L中の塩化水素分子 (ク) アンモニアNH3
67.2L (ケ) 硫化水素H2S 11.2L
(ア) 5.6L (イ) 56L (ウ) 2.8L (エ) 0.40L (オ) 0.25L (カ) 1.5×1023個
(キ) 1.8×1024個 (ク) 51g (ケ) 17g
「分子量」g ⇔ 1mol ⇔ 22.4Lより
密度 = 分子量/22.4
例題 次の各問に有効数字2桁で答えよ。
(1) 窒素N2の標準状態における密度を求めよ。N=14 (2) 標準状態での密度が1.5g/Lである気体の分子量を求めよ。
(1) N2 1mol ⇔ 14×2=28g ⇔ 22.4L より,密度 = 28/22.4 = 1.25 ≒ 1.3〔g/L〕
(2) 分子量をxとすると, 1mol ⇔ xg ⇔ 22.4L より,x/22.4 = 1.5 ,x = 33.6 ≒ 34
空気1molの質量と体積
空気は窒素N280%,酸素O220%の混合気体である。空気1molの質量(空気の分子量)は次のように求められる。また,気体1molの体積は種類に関係なく標準状態では22.4Lなので,1molの空気も22.4Lとなる。 N=14,O=16
空気1mol = 窒素0.80mol + 酸素0.20molより,
空気の分子量 = 14×2×0.80+16×2×0.20 = 28.8
例題
次の(ア) 〜 (カ) から,同温,同圧で空気より重い気体をすべて選べ。ただし,空気は窒素N2と酸素O2が4:1の混合気体とする。H=1.0 C=12 N=14 O=16 S=32
(ア) CO2 (イ) H2 (ウ) H2S (エ) NH3 (オ) CH4 (カ) C3H8
空気も(ア)〜(カ)も1molは22.4Lで同じなので,1molの重さ(分子量)で比較
28.8を超えるもの
(ア) 44 (イ) 2.0 (ウ) 34 (エ) 17 (オ) 16 (カ)44 (ア),(ウ),(カ)
【溶液の濃度】
溶液
食塩水は食塩が水に溶けたものである。食塩水のように物質が液体に溶けたものを溶液という。このとき,液体に溶けた物質を〔 溶質 〕,物質を溶かしている液体を〔 溶媒 〕という。食塩水の場合,〔 食塩 〕が溶質で〔 水 〕が溶媒になる。
質量パーセント濃度[%]
溶液中の溶質の質量の割合を百分率で表したものが質量パーセント濃度である。
|